ミュージカルの演出:立ち位置と動きをどう決めるか

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ミュージカルを演出するとは、体がどこにあるのか、どう動くのか、そして観客の視線がどこへ向かうのかを決めていくことです。せりふ一つごとに、小節一つごとに決めていきます。この作業には名前があります。ブロッキング、日本語で言えば立ち位置の段取りです。ここでは立ち位置、動線、出入り、そしてアンサンブルナンバーの考え方を順に見ていきます。すべてを書き留めて、そのまま再現するための舞台用語もあわせて紹介します。

ブロッキング:物語のために体を置く

ブロッキング(立ち位置の段取り)とは、舞台上での俳優の位置と動きを細かく決めた配置のことです。これを決めるのは演出家で、稽古の中で作っていきます。そのとき常に二つの目的があります。客席からの見通し(サイトライン)を確保すること、そして照明と噛み合わせることです。この言葉は 19 世紀の慣行に由来します。W. S. ギルバートのような演出家が、舞台美術の模型の上で、俳優一人ひとりを表す木片(block)を動かしながら舞台を組み立てていたのです。英語としての用例は 1961 年ごろから確認されています。

ブロッキングは決めて終わりではなく、保たなければなりません。位置と動きを書き留め、公演ごとに同じ段取りが再現されるように見ているのは、たいてい舞台監督(ステージマネージャー)です。演出家が毎回の公演に立ち会うわけではないだけに、この役割はなおさら重くなります。書き残されたこの記録があるからこそ、作品は夜ごとに崩れずに保たれます。

立ち位置は決して中立ではありません。舞台前方にいる人物はより無防備に見えます。舞台奥にいる俳優は、遠く、孤立して、あるいは弱く見えます。中央は自然に注目を集めます。つまり立ち位置は、人物どうしの関係の見え方や、舞台上のエネルギーの流れ方を左右します。段取りの問題である前に、劇作術の道具なのです。

舞台で方向をつかむ:上手、下手、舞台前方、舞台奥

空間を組み立てる目印が四つあります。舞台の「方位」と言ってもよいものです。舞台前方、舞台奥、上手(かみて)、下手(しもて)です。舞台前方は客席にいちばん近い部分、舞台奥はその反対側、いちばん遠い部分で、背景の壁で区切られています。上手と下手は客席から見た呼び方で、客席から舞台に向かって右が上手、左が下手になります。フランス語には cour(クール)と jardin(ジャルダン)という呼び方があり、これはテュイルリー宮殿の機械室に由来します。革命のときに王室の桟敷を指す言い方が消え、代わりに「中庭(cour)」と「庭(jardin)」という目印が残ったのです。cour が客席から見て右、jardin が左にあたります。

気をつけたいのが英語への切り替えで、ミュージカルの現場ではこれが頻繁に起こります。stage left / stage right は客席を向いて立つ俳優から見た左右で、house left / right は観客から見た左右、つまり逆になります。upstage は舞台の後ろ側(客席から遠い、舞台奥に近い部分)、downstage は前側(客席に近い、舞台前方)です。日本語の上手と下手は客席側に基準を置いているので、俳優の左が上手、俳優の右が下手にあたります。書き留めるときの取り違えを防ぐために、どの視点(客席側か演者側か)で言っているのかを毎回添えてください。

位置と動きを細かく書き表すために、舞台は伝統的に九つのエリア、つまり 3×3 のグリッドに分けられます。up right、up center、up left、center right、center、center left、down right、down center、down left です。中央がもっとも強く、もっとも見える位置になります。舞台前方(downstage)はより前面に出て、視線をより多く集めます。舞台奥(upstage)は相対的に目立ちません。おおまかな原則としては、舞台前方へ進み出るほど親密さと強度が増し、舞台奥へ下がるほど距離感や、あるいは権力の位置を感じさせます。ただしこれは構図の約束事であって、法則ではありません。舞台奥にぽつんと立つ人物が場面を支配することは十分にあり得ます。良い演出家は、分かったうえでこうした原則を裏切ります。

動きと体の向き:すべてに理由が要る

基本の原則は、すべての動きに動機があること、つまり劇作術として正当化できることです。まっすぐな移動も避けます。狙う効果に応じて曲線や折れ線を選び、注意を引きつける止まり位置を要所に置きます。芝居を組み立てるのに役立つ考え方が「軸を変えて、考えを変える」というものです。45 度や 90 度の角度を使い分けて、意図を的確に置いていきます。とりわけ斜めの線は視覚的な動きを生み、空間に奥行きを与えます。対決の場面では、俳優どうしを中央へ近づけると劇的な緊張が高まります。

体の向きは、床の上のどこにいるかと同じくらい重要です。オープンポジションでは、俳優は客席にまっすぐ体を向けます。要となるせりふ、重要な反応、告白、感情をはっきり伝えたい場面のために取っておく向きです。クローズドポジションでは、俳優は背を向ける、あるいは隠れます。秘密、拒絶、恥、威圧といったものを担います。そして向かい合う場面でさえ、「チーティングアウト」といって、四分の三の角度まで客席側へ体を開くことがあります。そうすれば観客に顔がよく見え、せりふもよく届きます。

二人の出演者がすれ違うときは、その受け方(カウンタークロス)を作り込む必要があります。クロス(一方の俳優がパートナーの前を横切る動き)のあいだ、動かないほうの俳優は身振りも呼吸も止め、相手の動きが終わるまで待ちます。相手を通しやすくするときは、後ろへ下がるのではなく前へ出て、相手を回り込むようにします。読み取りやすい舞台と、ごちゃついた舞台を分けているのは、こうした細かな調整です。

アンサンブルナンバーの演出:フォーカス、ユニゾン、カノン

ミュージカルでは、構造を決める判断を早い段階で下します。どのナンバーを段取り(ブロッキング/ステージング)だけで作り、どのナンバーに振付をつけるのか、という判断です。せりふから音楽ナンバーへの移り目も、流れとエネルギーを保つために丁寧に作り込む価値があります。ここでの振付は共同作業です。演出家、音楽監督、振付師が一緒に進め、全体の構想を決めるのは演出家、舞台上の動きが音楽、衣裳、装置、照明と無理なく噛み合うように見るのが振付師です。

アンサンブルでは、まとまりはすべてタイミングにかかっています。出演者一人ひとりが、グループのリズムから外れないようにしなければなりません。アンサンブルのメンバーが担う一連の役は「トラック」と呼ばれ、各自が自分のトラックを完璧に手の内に入れる必要があります。せりふ、ブロッキング、振付、小道具、袖での移動まで含めてです。ジョー・ディアが指摘するように、コーラスは作品の世界に「人を住まわせる」働きをします。観客に舞台の設定を伝え、劇的な場面を強め、主要人物に圧力をかけ、見た目の華やかさを作り出します。コーラスを個として立てる作り方(一人ひとりに名前、関係、職業、超目的を与える)もあれば、その逆に「複数の体を持つ一人の人物」として扱う作り方もあります。ジェリー・ザックス演出の『ガイズ・アンド・ドールズ』のホット・ボックス・ガールズがその例です。大人数を動かすには、「挑発しろ」「支えろ」「誘え」といった行動の形で出す指示が、出演者をその場で引き込みます。そして体の配置そのものが視線を導く手段になります。ジョー・ディアは『エビータ』のバルコニーの場面を挙げています。体の並べ方がどこを見るべきかを語っているのです。ハル・プリンス演出の『キャバレー』も同様で、ドイツの民衆の心変わりを、グループが舞台の片側からもう片側へ移動することで表現していました。

振付の書き方の側では、三つの考え方が繰り返し出てきます。ユニゾンは、複数のダンサーが同じ動きを同じ瞬間に行うことです(似た動き、補い合う動き、あるいは対照的な動きを同時に行う形もあります)。モチーフは、ダンスのスタイルと意図を表す一つの動き、または短いフレーズのことで、高さ、方向、大きさ、面を変えたり、フォーカス、テンポ、強弱を変えたり、あるいは逆行(順序を逆にする)によって展開していきます。カノンは、グループが同じフレーズを次々に受け継いでいくもので、音楽の輪唱のような形です。シンプル(順番に一人ずつ)、同時(同じモチーフをフレーズの違う地点から始める)、累積(各自がさまざまな段階で先頭に合流し、全員が同時に終わる)、ルーズ(より自由で、高さ、向き、強弱に変化をつける)といった種類があります。

見えることを考える:サイトライン、死角、客席の形

サイトラインとは、客席から実際に見えている舞台のことです。目指すのは、どの席からも遮るもののない明瞭な視界で、舞台のデザインは常にそこから始まります。逆に「デッドアングルの席」、つまり死角とは、肝心の芝居が見えなくなる場所のことです。隅の席、遮蔽物、装置、吊り物などが原因になります。客席の一部から出演者がはっきり見えなくなった瞬間に、その場の集中はすぐに落ちます。

360 度の客席(円形劇場)や多方向から見る形の場合、押さえておきたい反射的な判断が二つあります。一つは装置をシンプルで最小限に保ち、視界を塞がないこと。もう一つは高さの違いを使うことです。奥行きと見た目の面白さが加わり、同時に見通しも保てます。俳優の配置は、どの角度からも見えるように考える必要があります。正面から見て「成立している」配置が、客席の三分の一からは芝居を隠してしまうこともあるからです。

ここで挙げた原則の多く(ブロッキング、動き、サイトライン)は、演劇と舞台美術全般から来たもので、ミュージカルにはその延長として当てはまります。ミュージカル固有の理論というわけではありません。舞台用語の面では、派手な登場を演出するときに知っておくと便利な舞台機構の言葉がいくつかあります。バトンは、すのこの上にある直径 5 センチほどの金属のパイプで、装置や照明器具を吊り込むためのものです。「飛ばす」とは装置をすのこへ吊り上げること、せり出し口(トラップ)は人物や装置を下から突然現すための仕掛けです。こうした作業を準備して書き留めるために、つまり立ち位置、体の軸、九つのエリア、アンサンブルのフォーメーションをまとめておくために、Stancz のようなツールを使えば、フォーメーションを 2D、3D、客席視点で配置して確認できます。舞台稽古に入る前に見通しを確かめておくのにも役立ちます。

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上手・下手と stage left / stage right は何が違いますか?
上手と下手は客席から見た目印です。客席から舞台に向かって右が上手、左が下手になります。英語の stage left / stage right は、客席を向いて立つ俳優から見た左右で、house left / house right のほうが観客から見た左右です。具体的には、上手は俳優の左(つまり stage left)にあたり、客席から見れば右になります。混乱を避けるために、どの視点で言っているのかを毎回はっきりさせてください。
舞台の九つのエリアとは何ですか?
位置と動きを書き表すための 3×3 のグリッドです。up right、up center、up left、center right、center、center left、down right、down center、down left の九つに分けます。upstage は後ろ側(客席から遠い)、downstage は前側(客席に近い)です。中央がもっとも強く、もっともよく見える位置で、downstage は upstage よりも前面に出ます。
アンサンブルナンバーでのユニゾンとカノンの違いは何ですか?
ユニゾンでは、複数のダンサーが同じ動きを同じ瞬間に行います(似た動き、補い合う動き、対照的な動きを同時に行う形もあります)。カノンでは、グループが同じフレーズを次々に受け継いでいきます。音楽の輪唱のような形です。カノンにはいくつかの種類があります。シンプル(順番に一人ずつ)、同時(同じモチーフをフレーズの違う地点から始める)、累積(全員が同時に終わる)、ルーズ(より自由で、高さや強弱に変化をつける)です。
本当にすべての動きに理由が必要ですか?
必要です。舞台上のすべての動きには動機がなければならない、つまり劇作術として正当化できなければならない、というのが原則です。まっすぐな移動も避け、曲線や折れ線を選び、注意を引きつける止まり位置を要所に置きます。「軸を変えて、考えを変える」という考え方は、45 度や 90 度の角度を使うことで、一つひとつの動きを読み取りやすく、物語にとって意味のあるものにしてくれます。

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ブロッキング、動き、フォーカス、アンサンブルナンバー。ミュージカルを演出し、出演者を舞台に配置するための実践的な手引きです。

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